2025/10/05 09:00
洗濯機に粉石鹸を入れ衣服を洗っていると、面白いことに気がつきます。石鹸をある程度まで入れても、水が白くにごるだけで、さほど泡がたたないのに、“泡だちが悪い” と思い石鹸を追加すると、ある分量を超えた辺りから急に泡がモクモクとたちはじめます。気持ちとしては泡がモクモクたった方が衣服が綺麗になりそうで、ついつい粉石鹸を追加で入れてしまいがち。でも、実際は、泡がよくたつのと、衣服の汚れがよく落ちることには、関連性が薄いようです。泡がたたなくても、洗濯水が石鹸で白くにごった状態でしたら、十分汚れはとれるようです。
水に石鹸を入れかき回すと泡がたつのは、石鹸内の界面活性剤が水の表面張力を弱めることで水が水玉にならず薄い膜を作るようになり、さらにそのできた水の膜を界面活性剤が強化するためです。泡にも界面活性剤が含まれるため洗浄力はありますが、泡がたつから洗浄力が強いわけではありません。水の表面張力をさほど弱めない界面活性剤や、泡を強化する力が弱い界面活性剤では、泡があまりたちません。でも、泡がたたなくても洗浄力は十分にあります。
界面活性剤の性質は原料となる油によって違います。そのため、原料の油によって、泡がたちやすい石鹸もあれば、泡がたちにくい石鹸もあります。化学的に合成される合成界面活性剤(合成洗剤)は泡がたちやすく、天然素材から作られた界面活性剤(石鹸)はそれに比べると泡だちは劣ります。また、同じ石鹸でも、原料となる油により泡だちは異なります。ココナッツ油から作られた石鹸は他の油から作られた石鹸に比べ泡だちがよいため、他の油から石鹸を作る場合でも、泡だちをよくするため少量のココナッツ油を混ぜて石鹸を作ることが行われています。
オリーブオイル石鹸は一般的に泡だちはあまりよくない石鹸に分類されます。そのためココナッツ油など泡だちをよくする油を混ぜて作られることも多いです。でも、クノッソス石鹸は、100%オリーブ油を原料としていながらも、けっこう泡だちがよいです。泡を垂らして泡の塔を作ることもできます。
洗濯中、粉石鹸をある程度まで入れると、急に泡だちがよくなる原因は、石鹸の分量が水が石鹸を溶かす分量を超えたため、石鹸の成分が泡の強化に向かってしまうためです。だから、水が石鹸を溶かす分量を超えた途端、急に泡だちがよくなるのですね。私は、洗濯中、頭では分かっているのですが、それでも泡だちが欲しくて、粉石鹸を追加で入れてしまいます(私の家の洗濯機は蓋が透明なので、洗っている最中、洗濯槽をのぞくことができます)。
