2025/07/25 09:00

 化粧品は、水にさまざまな成分を溶かし、それをボトルにつめたものです。肌を美しくする成分は少し。大部分は、水、成分を肌に浸透させるための合成界面活性剤(強力な洗剤)、腐らないようにするための防腐剤です。肌を美しくする成分は高価ですが、他は水やら合成界面活性剤やら防腐剤やらほとんどタダみたいなものです。それは、成分を水に溶かし、強い洗浄力を持つ合成界面活性剤で皮膚のバリアを削り取り、成分が溶けた水を肌の奥深くに浸透させることで皮膚の細胞に影響を与え、肌を美しく見せます。細胞に影響を与えるとは細胞を傷つけることに他ならず、また、皮膚のバリアを削り取ってしまうことで、皮膚の水分が外に出ていってしまい、乾燥肌のヒリヒリ肌になってしまいます。

 手を変え品を変え、いろいろな商品が出回っていますが、健康には良いものではありません。でも、どれも法律には違反していません。ほとんどの人は “法律に違反していないから安心” と考えてしまいますが、そんなわけはありません。法律は最低の線を定め、“これ以上悪影響を与えるものはダメ” としているだけであり、その線より良ければ、たとえ体に悪くても、法律違反にはなりません。

 “でも、企業は顧客の安全を第一に考えているのだから、より安全でよい物を作っているに違いない” そう信じたいですが、実際は、顧客が求める美しさを実現するためには、より強力な成分が必要であり、“美しくする” とは細胞を傷つけ普通の状態ではなくすることですから、法律で許されている最低の線まで安全性が落ちます。化粧品の研究所では、その最低の線を調べるため酷い動物実験が行われ、多くの動物の犠牲の下、人の健康を害さないとされる最低の線が決められます。化粧品製造業者は、美白成分とか、シワとりとか、あれこれ薬効を宣伝し、「私どもが一番」と言います。でも実際は、どれも同じようなものです。なぜならどの業者も最低の線の成分(最も強い成分)を使っているからです。もし安全にこだわる業者がいれば、それはすなわち成分が弱い商品、美しくする機能が弱い商品なので、市場では人気が出ません。結果、売れません。

 化粧品販売業者は1万本2万本と発注するため、製造、梱包、運搬に多大な費用がかかります。また、1万本、2万本の在庫は、ガレージをいっぱいにしてしまうほどの量です。それをただの部屋ではなく、品物が傷まないよう、夏でも涼しい冷暗室に保存しておく必要があります。商品が売れなかったら、それこそ大変です。だから、化粧品を作る人たちはお金のことばかり考えています。法律に違反しなければそれでよい。安全性を考え他者より効果が少ない商品を作ってしまえば、商品は売れません。膨大な在庫を抱え大変なことになってしまいます。

 そしてそれを販売する卸売業者も、考えていることは、“できるだけ安く買取り、多くの利益を乗せて売ること” ばかり。だから、販売価格からは考えられないほど安い値段で買いたたきます。製造業者は、それを見込んだ上で、それなりに高い金額で販売価格を設定します。そのため、製造原価100円のものが消費者の手に届く頃には3,000円とか4,000円となります。どれも似たような効果なので、自分たちが勝つため、高額なイメージ作り費用と、膨大な広告費が必要であり、それぐらい定価をつけないとリスクに見合った十分な利益が得られないのでしょう。でも、卸売業者は千個単位で買っていきますから、契約が取れれば、いくら安値で買いたたかれたとしても、化粧品製造業社には大金が入ります。“化粧品は儲かる” みたいな本を読んだことがありますが、確かに書いてあることは本当です。ただ、銀行からお金を借り、製造・広告・販売と、順調にいけばの話です。一つでも失敗すれば、大金を得られるどころか大損失を出してしまいます。

 私は化粧品業界のことを知らずに石鹸の販売業を始めてしまいました。オリーブオイル石鹸は、上記で述べた美しくする機能が弱い商品、つまり市場で人気が出ない商品なので、それほど儲かりません。卸売業者が求める卸値で販売しては商売が成り立たないため、少しづつ輸入し愛好者に配る程度しかできないです。アレッポ石鹸やマルセイユ石鹸など有名なオリーブオイル石鹸でも、卸売業者が望む卸値では販売できないため、自分たちの会社で顧客へ直接販売し、なんとかやっています。でも、その代わり、オリーブオイル石鹸は、ちまたに出回っている化粧品よりも、皮膚の細胞に影響を与えず、体には良いものとなっています。

 クノッソス社があるギリシャ共和国でも日本と似た事情のようで、近所の化粧品会社で働く人たちが、クノッソス社の工場を訪れ、自分たちと家族の分としてクノッソス石鹸をごっそり買っていくそうです。なぜ自分たちが製造販売している洗剤を使わないのか?それは自分たちが製造している製品が最低線の安全性だからだそうです。法律には違反していないが、自分と家族の健康を考えた時、使いたくないそうです。

 昨日、図書館で「ウソをつく化粧品 小澤 貴子 著」をかり、最初から最後まで読んでみました。書いてある内容は、本当、驚くことばかり。すごく勉強になりました。