2025/07/15 09:00
子供の頃、学校のお手洗いでネットに入れられぶら下がっていた石鹸は、本当は石鹸ではなく合成洗剤を固めたものです。でも、ほとんどの人は「石鹸」と聞いて、学校のお手洗いのネットに入っていたそれを石鹸と考えてしまいます。そもそも合成洗剤なんて言葉は聞いたことがありません。また、スーパーでよく見かける石鹸も実は合成洗剤であり、値段はとても安価です。そのため、石鹸は安い物というイメージがあります。でも、実際、そんな安価な値段で石鹸を製造し流通させることはできません。本物の石鹸は少し値がはります。そのため、本物の石鹸を買うことは損な買い物のように感じられ、「安くても高くてもどのみち同じ石鹸。わざわざ高い石鹸を買わなくてもよい」と考えてしまいがちです。でも、値段が違うということは何か根本的な違いがあるということ。一度、本物の石鹸を使ってみれば、それまで石鹸と勘違いしていた合成洗剤とは違うものであることに驚かされます。もし、商品名が合成洗剤と書いてあれば、本物の石鹸とは違う商品だと分かります。でも、用途は同じ洗浄であり、同じように汚れを落とすものであることから、石鹸と表記しても問題ないとされています。そのため、多くの人が「石鹸」と聞いてイメージする物が、本当は石鹸ではない合成洗剤となってしまっています。
それでは合成洗剤と石鹸との大きな違いは何でしょうか?それは第一に洗った後の手の乾燥具合です。合成洗剤は汚れを取ることに特化しているため、肌の皮脂を根こそぎ洗い落としてしまいます。そのため、洗った後で、手が乾燥してパリパリします。一方、石鹸はそれ自体が油でできていることもあり、肌の皮脂となじみ、汚れを浮かせ、洗い落とします。そのため、洗った後で、それほど手がパリパリしません。また、合成洗剤は水にも溶けやすい反面、溶けやすい成分だけ勝手に溶けてしまうため、ネットに入れてしばらくすると、溶けにくい成分だけが残ったカピカピのひからびた石鹸になってしまいます。こうなると、水をつけても泡立たず、ほとんど石鹸の役割をはたしません。でも、それでも手にこすりつければ、少しは汚れがとれます。そのためゴシゴシこすって洗い、肌を痛めてしまいます。本物の石鹸は、湿気にふれると全体的に溶けるため、いくら溶けても、干からびたカチカチの石鹸にはなりません。
“安かろう悪かろう” という言葉がありますが、悪かろうというより、そもそも本物ではない類似品であることが多いです。そのため、同じ用途には使えても、その質は明らかに劣ります。これも、同じ用途で同じ効果なら同じ名前を使っても差し支えないためです。世の中、このような物があふれています。もし同じようなもので値段が大きく違う物があったなら、安い物を買う前に、それが類似品ではないか疑った方がよいです。類似品は、たいてい、本物と同じ効用はあるが、肌を痛めてしまったり、健康に悪かったり、使い勝手が悪かったりと、やはり本物には劣ります。
