ただ、菌は病気を起こす悪者と考えるのは医学的には間違っています。菌にも悪玉菌と善玉菌があり、人体に危害を加える菌もあれば、そんな菌から人体を守る菌もあり、それぞれの菌がバランスを保つことで無害になる菌もあります。結局、菌のバランスが大切なのであり、殺菌して菌を無くせばよいものではないようです。

　実際、殺菌力のある石鹸は、菌を殺すだけではなく表皮の細胞も傷つけてしまうため、これを使いこまめに手を洗うと、手がヒリヒリするようになってしまいます。数年前のコロナ禍では、“殺菌することが正義” みたいな風潮ができ、病気に対する不安から常に消毒しては手洗いする人がいました。そんな人の手は赤く腫れ上がり、とても痛々しかったです。

　“体に他の生物がついている” そんな菌に対する気持ち悪さから、菌を毛嫌いする気持ちは分かります。でも、人体はそんな菌とも共生することで、身体のバランスをとっています。昭和の人たちは、殺菌などしなくても健康的に過ごしていました。病気やケガなどがなければ、そこまで殺菌は考えなくてもよいような気がします。ただ、肌の汚れをとり肌を清潔に保つことが、健康的な体を維持するために必要だと思います。