2024/12/15 09:00
今、政権交代で話題のシリアにはアレッポという石鹸作りで有名な街があります。アレッポ石鹸はクノッソス石鹸と同じくオリーブオイルから作られたオリーブ石鹸ですが、手にとってみると、クノッソス石鹸とは、ずいぶん違った印象を受けます。それは、クノッソス石鹸が真っ直ぐな線からできた直方体で硬く引き締まった感じがするのに対し、アレッポ石鹸は正六面体(サイコロのような形)で形がいびつだからです。この違いは、石鹸の製造方法によります。シリアのアレッポ石鹸は、枠練り製法により石鹸に形を与えています。枠練り製法とは、金属の鋳型に溶けた金属を流して鋳造するように、石鹸の形をした枠に溶けた石鹸素地を流し込み、自然に乾燥させ固める製法のことです。この製法で製造した石鹸は、圧力をかけ石鹸の粒子を押し込めていないため、形がいびつになってしまいます。ギリシャのクノッソス石鹸は、機械練り製法により石鹸に形を与えています。機械練り製法とは、まさしく機械を使いかき回し、圧力をかけ石鹸の粒子を押し込め石鹸素地をひねり出し、それを押さえつけて形にします。枠練り製法で作られた石鹸の良さは、自然な感じが親しみやすく、また、一つ一つ微妙に異なる形に愛着が持てることです。アレッポ石鹸に限らず、アラブ地域の石鹸は枠練り製法で作られた石鹸が多いように感じます。一方、ヨーロッパの石鹸は機械練り製法で作られた石鹸が多い感じがします。ただ、アレッポ石鹸とクノッソス石鹸、石鹸自体は、見た目の印象ほどは違わないようです。アレッポ石鹸が緑色をしているのは、クノッソス・ノーマル石鹸(緑)と同じオリーブポマスオイル(オリーブの実の成分がしっかり含まれたオイル)を主成分にしているからであり、アレッポ石鹸が外側はうぐいす色で中にいくほど濃い緑色をしているのは、アレッポ石鹸は、自然乾燥させているため、外側が変色し、うぐいす色になっているだけのようです。私もアレッポ石鹸を使ったことがあります。アレッポ石鹸はアレッポ石鹸でよい石鹸だと思います。今はシリア内戦のため、アレッポ石鹸の職人がトルコに避難し、トルコの工場で作っているようです。シリアに平和が戻れば、石鹸職人もアレッポに戻ると思われます。今後のシリアの復興に期待したいです。