2024/11/15 09:00
私が小学生の頃、私の通う小学校では、学校の農園でヘチマを育てていました。ヘチマは今でこそ学校の農園で栽培されているだけの作物ですが、昔は、食用、たわし、スポンジ、化粧水などに使われていました。晩秋に茶色くなったヘチマの果実を水にさらし、やわらかい部分を取り除き、繊維だけにして乾燥させると、スポンジ状のたわしができます。これがヘチマたわしです。私はそれで体を洗ったことはないですが、学校で作ったことはあります。硬くてゴワゴワし、体を洗うにはよくない印象を受けました。ただ、それでも水につけるとふやけ、軽くこすりつける程度なら、なんとか使えそうでした。石鹸がまだ高価だった頃、“一般の人たちは、どこでも栽培できるヘチマでたわしを作り、体を洗うのに使っていた” と聞きます。今でも、そのゴワゴワしたイメージとは違い、使っていれば柔らかくなり、肌の汚れや余分な角質を落とし、肌に適度な刺激を与え新陳代謝を促すなど、良い効果があるようです。ボディタオルで体をこするより肌には良いらしいです。“今でもヘルシー嗜好の人たちの間では使われている” と聞きます。私が調べてみたところ、片手で持ちやすい、手頃な大きさで、1個600円ほどで売られていました。
また、ヘチマからはヘチマ水という、肌の健康によい水が採れます。ヘチマ水は昔から使われてきた化粧水で、江戸時代中期には庶民の間で広く使われていたことが記録に残されているようです。ヘチマ水はあのヘチマの大きな実から採れる水ではなく、ヘチマのツルを切ったところから滴り落ちる水です。小学校でも、いくつかヘチマのツルを切り、ビニール袋を被せ、ヘチマ水を採取していました。今ではすっかり使われなくなってしまったヘチマですが、とても有用な植物だったようです。