2024/10/15 09:00

 人間の肌は弱酸性です。そのため、弱アルカリ性の石鹸より弱酸性の石鹸(弱酸性ソープ)の方が肌にやさしいとされています。しかし、厳密には石鹸は弱酸性に作ることができません。それは石鹸とは弱酸性の脂肪酸(油)に強アルカリ性の物質を加え、化学変化をさせ作るものだから、どうしてもアルカリ性になってしまいます。でも、なぜ弱酸性の石鹸があるのでしょうか?それは、洗浄剤という意味で石鹸という言葉を使っていますが、弱酸性の石鹸は厳密には石鹸ではなく合成洗剤だからです。弱酸性の石鹸の中にはクエン酸などの酸性物質を加えているものもあるようです。そのため、肌に刺激がある石鹸も存在し、弱酸性だから一概に肌にやさしいとは限りません。実際、大阪大学、九州大学など8つの大学の医学部で、計22名の医師グループが行った、皮膚への刺激を調べる実験では、「48時間パッチテスト」(ひじの裏側に液体を塗ってアレルギー反応をみるテスト)で、ある弱酸性ソープの皮膚刺激指数は「危険品」に属すると判定されたこともあるようです(出典:日本小児科皮ふ科学会誌 第六号二号)。


 昔から温泉は肌によいと言われてきましたが、温泉はだいたいアルカリ性です。それが肌にほどよい刺激を与え、皮膚疾患の改善、健康増進効果などがあります。また、家庭用入浴剤も炭酸水素ナトリウム(重曹)が主成分で、アルカリ性です。お風呂で石鹸を使えば、肌にほどよいアルカリの刺激となり、風呂上がりの後、肌は自動的に弱酸性になります。ただし、アルカリ性の石鹸でゴシゴシ洗ってしまうと、肌を痛めてしまいますので、その点は注意が必要です。