2024/10/10 09:00
今回の話は、直接、石鹸には関係ありませんが、オリーブオイル石鹸の原料のオリーブオイルについての内容です。健康食品界隈で、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸という名前を聞くことがあります。脂肪酸とは油のこと。飽和脂肪酸は動物の油に多く含まれる脂肪酸で、不飽和脂肪酸は魚などの冷たい水の中で生活する生き物や植物に多く含まれる脂肪酸です。健康に良いのは不飽和脂肪酸であり、不飽和脂肪酸は、オメガ3、オメガ6、オメガ9などに分けられ、たびたび取り上げられています。私もこの話を聞いた時は何がなんだか理解できませんでした。ただ、知識として「不飽和脂肪酸は体に良く、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は不飽和脂肪酸のオメガ9に該当する」とだけ覚えていました。
脂肪酸は炭化水素鎖であり、その結合状態に二重結合が含まれないと、炭化水素鎖は直線的で、ぎっしりと積み重なる構造となり、そうなると、油自体の流動性が落ち、溶けにくく硬い油となります。一方、その結合状態に二重結合を含むと、炭化水素鎖はいびつに折れまがった形となり、ぎっしりと積み重なりません。そのため油自体の流動性が高く、溶けやすく柔らかい油となります。
では、なぜ、柔らかい油だと体によいのでしょうか?それは、細胞には外と内を分ける細胞膜があり、細胞膜は油からできています。そして、この細胞膜の柔軟性が細胞の柔軟性となります。細胞膜の原料となる油には食物を通して体内に取り込まれた油が使われます。そのため飽和脂肪酸を多く摂ると、体は飽和脂肪酸から細胞膜を作り、硬めの細胞ができます。一方、不飽和脂肪酸を多く摂ると、体は不飽和脂肪酸から細胞膜を作り、柔らかめの細胞ができます。
よく不飽和脂肪酸を摂ると「血がサラサラになる」と言われ、飽和脂肪酸を摂ると「血がドロドロになる」と言われます。それは血液中の赤血球も細胞であり、細胞膜に包まれているため、細胞膜の材料となる脂肪酸の種類により、柔軟性が異なります。不飽和脂肪酸から細胞膜を作った赤血球は、どんな細い血管でも臨機応変に形を変えスムーズに流れることができます。一方、飽和脂肪酸から細胞膜を作った赤血球は、細胞膜が硬く、スムーズに形を変えられないため、血液の流れが悪くなります。それをドロドロと表現しています。
不飽和脂肪酸であるオレイン酸を主成分とするオリーブオイルは、血をサラサラにする油です。オリーブオイルは融点が低いため、この油で石鹸を作ると、石鹸が水でも容易に溶け、原料の油の融点が人の体温よりも低いため、石鹸が肌に残らず、さっぱりした洗い上がりになります。クノッソス石鹸はオリーブオイル以外の油を使っていません。そのため水でも容易に溶け、洗い上がりもさっぱりさわやかです。
