2024/06/20 09:00
石鹸の起源については、諸説ありますが、英語のソープの起源になった “ローマのサポーの丘説” が広く信じられています。この説は、神への捧げものの肉から滴り落ちた肉汁と灰が混ざり石鹸ができたという話です。
今回ご紹介するのは、それとは別の一風変わった起源説です。この説には古代ギリシア・レスボス島の女流詩人、サッポーが登場します。
サッポーが船で海を航海中、嵐で船が激しく揺れ、彼女が運んでいたオリーブ油を入れた壺が倒れて割れてしまいました。中からあふれ出たオリーブ油は船底の灰と混じり合い、一晩中、揺られ、朝にはドロドロした液体になっていました。サッポーがこの液体を皿につけて洗ったところ、それをつけなかった時より汚れが綺麗に落ちました。そこで、このことを発見したサッポーが、オリーブ油と灰を混ぜ石鹸を作る方法を世間に広めました。そのため、石鹸の英語の名前、ソープはサッポーに由来します。
この説だと、初めからオリーブ油を使っており、また発明者まで分かります。ただ、これはあくまで言い伝えであり、この説が正しかったとしても、詩人のサッポーとは限りません。
実際、石鹸は誰がどこで発明したのか謎です。ただ、最初期の石鹸がオリーブ油を原料に作られたことは確かなようです。
8世紀ごろのスペインやイタリアなど地中海沿岸地域では家庭内工業として石鹸作りが行われていました。そして12世紀にはフランスのマルセイユやイタリアのサボナで本格的に石鹸の工業生産が始められました。
日本に石鹸が伝わったのは、戦国時代の頃だと言われています。ただ、日本で石鹸を製造するのは明治になってから。石鹸は舶来のとても高価なものだったため、将軍や大名しか使うことができなかったようです。ただ、アルカリ物質が油と反応し、油を落とす力があることは知られており、昔の日本では、灰汁を食器に塗り、油汚れをとっていました。