2024/04/20 09:00
成分表には載らない成分に「不けん化物」があります。不けん化物とは油がアルカリ物質と反応し石鹸となるけん化反応において、石鹸にならず残ってしまった成分のことです。
不けん化物の代表は原料の油です。苛性ソーダは残ってしまうと危険なため、油を全て石鹸に変えてしまうよりも少なめに加えます。そのため、ある程度の油はそのまま残り、石鹸に影響を与えます。手作り石鹸の場合、安全のため油の1割が石鹸にならない程度に苛性ソーダを加えます。工業生産ではその割合はより少ないと思いますが、それでも一定量の油は石鹸の中に残存します。
次に油の中で石鹸にならない成分もあります。アルカリ物質と反応するのは脂肪酸であり、他の成分は反応せず石鹸内に留まります。オリーブ油ですと、天然の保湿成分スクワレンやグリセリン、リン脂質、糖脂質、各種ステロール、ビタミン、抗酸化物質など、肌にとって良い成分も豊富です。
これらの成分は、成分の油に含まれるため、成分表示に表記されることがありません。そのため、それらが含まれていようがいまいが購入者は知るすべがなく、販売するにあたって利点になりません。一方、それらの成分だけを分離すれば、それだけで1つの商品になります。そこで、大きな工場で大量生産しているところでは、石鹸製造の過程でそれらの成分を取り除き、ビタミン剤や保湿剤の原料として業者に販売しています。そのため、石鹸を購入しても、それらの良い成分の恩恵を受けることがないです。手作り石鹸が市販の石鹸より肌に良いのは、このような事情があります。
クノッソス石鹸ではビタミンやグリセリンなどの成分を分離することはしていません。それだからこそ、肌にも良いのですね。