2024/04/15 09:00

 石鹸の特徴は原料となる油によって決まります。いくつかの観点から、どのような油の性質がどのように石鹸に現れるのか?

調べてみました。

 まず初めに油の融点の話をしたいと思います。油には固体から液体になる温度(融点)があります。低い温度で溶ける油で石鹸を作ると、溶けくずれしやすい一方、水でも十分な洗浄力を発揮できます。高い温度で溶ける油で石鹸を作ると、硬くてしっかりした石鹸ができますが、なかなか溶けないため洗浄力を発揮しにくいものです。また、高い温度で溶ける油で作った石鹸は、水では溶けず、洗う時にはお湯を使う必要があります。

 その融点が高いか低いかの目安は、それが体温(約37度)より高いか低いかです。融点が体温より低い油で作った石鹸は、体温で石鹸が溶けて流れるため、洗いあがりがさっぱりします。融点が体温より高い油で作った石鹸は、体表で固まってしまうため、それで体を洗うと、肌の上に膜がのったような感触が残ります。おおよそ体温より融点が高い油は動物性の油に多く、低い油は植物性の油に多いです。固体を指す脂が動物からとれ、液体を指す油が植物からとれることからも、それが分かります。

油の融点
牛脂(ヘッド)54度
鶏油     54度
羊(脂肪) 44度〜55度
馬(脂肪) 30度〜43度
パーム油   37度

体温     37度

豚脂(ラード)33度
ココナッツ油 25度
ごま油    −5度
オリーブ油  −6度
なたね油  −10度
コーン油  −11度
大豆油   −16度
ひまわり油 −17度

 パーム油やココナッツ油は植物性の油のわりには融点が高いです。そのため植物性の油で石鹸を作る時、溶けくずれしないように加えられることが多いです。実際、オリーブ油は融点が低く、それで石鹸を作ると形がくずれやすいです。そのため、これらの油を加えることが多いようです。

 また、牛脂など動物性の油から作った石鹸は肌にロウを塗ったような感触が残り、そのため「石鹸が毛穴をふさぎ肌に健康被害をもたらす」と言う人もいます。牛脂や豚脂(ラード)から作った石鹸は、合う人には合いますが、合わない人には合わないような気がします。

 アレッポ石鹸は、オリーブ油から作った石鹸ですが、オリーブ油から作った石鹸のわりには硬く、その点は使いにくかったです。包丁で切断すると割れ、くっつけようとしてもくっつかない。また、固くてなかなか溶けないため泡立ちが少ない。お湯で使う必要がありました。調べてみると、アレッポ石鹸は、オリーブ油の他に融点が高い油が混ぜ、石鹸を硬くしているようでした。

 私はいろいろなオリーブオイル石鹸を使ってみましたが、油の融点の話に反し、それらは合成洗剤で作られた格安石鹸より固い印象を持ちました。そこで成分表を見てみると、確かに、それらの石鹸にはパーム油やココナツ油など融点の高い油も入っていました。なるほどと思いました。

 クノッソス石鹸はオリーブ油の実から作られた石鹸ですが、ギリシャの伝統的な製法によりオリーブ油から作られた石鹸の特徴である溶けくずれしやすい問題を解決しています。風呂場においても、しっかり形を保っています。