2024/04/10 09:00

 食品や化粧品など、体に入れたり、つけたりする商品には、必ず成分表示が貼ってあります。良い製品を考える人は、それをしっかり読み納得した上で購入していると思いますが、多くの人は、気にすることもなく、値段とイメージで商品を選んでいると思います。商品として商品棚に並ぶ時点で、基準をクリアーした安全な物であることは確かでしょう。しかし、基準はあくまで基準であり、基準を超えているからと言って、全てが同じくらい体に害が少ないとも言えないです。また、含まれる成分によっては自分の体に合わないものもありますし、製品の性質も大きく異なります。値段だけ見て、「これは高い」「これは安い」と考えるのではなく、この成分なら、これが高いか、妥当か、安いか、で考えると、より良い買い物ができます。


 化粧品の成分表示には一定のルールがあります。1%以上含まれる成分を頭に含有割合が大きい順で表記、その後ろに1%未満の成分を順不同で掲載します。ただし、着色料は含有量に関わらず末尾にまとめて載せます。油から作った石鹸の場合、おおよそ、1)メインに使用している油、2)水、3)混ぜている油、4)苛性ソーダもしくは灰、5)香料。この順で並んでいます。成分として使われるのは、水と言ってもミネラルなどが含まれる一般の水ではありません。ミネラルなどを取り除いた純粋な真水、精製水のことです。水ではなく精製水と表記されていることもあります。精製水は薬局で売っています。

 原料を明記せず、1)石ケン素地、2)香料、となっている場合もあります。石ケン素地=高級脂肪酸・油脂・水酸化ナトリウムの意味です。水酸化ナトリウムは水酸化Naとも表示され、これは苛性ソーダのことです。高級脂肪酸とは苛性ソーダと反応した後の油、石鹸本体、油脂は苛性ソーダと反応しきれず石鹸内に残った油のことです。水酸化カリウムを触媒として作った石鹸の場合はカリ石ケン素地と表示します。この場合は、1)カリ石ケン素地、2)香料、となります。カリ石ケン素地=高級脂肪酸・油脂・水酸化カリウムカリ含有石ケン素地とした場合は、上記の2つとも含みます。カリ含有石ケン素地=高級脂肪酸・油脂・水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム。水酸化カリウムは液体石鹸(ボディーソープ・ハンドソープ)を作るのに適しているため、液体石鹸の場合、よく見られます。また、鉱物から作られる合成洗剤の場合は、すべてまとめて界面活性剤と表記し、カッコ書きで成分を表示します。

 成分表示についてはいろいろなパターンがあり、なかなか複雑です。ただ、石ケン素地となっている石鹸は手頃な値段の石鹸が多く、安物の油を使い大量生産しています。よい成分を使っているなら、それを表示したいもの。油の種類が表示してある石鹸は値段が高めですが、それにはそれ相応の理由があるものです。成分表示が細かく書いてある製品は、値段もそれなりにします。だから、いつも気にかけることはできないのですが、ただ、使ってみると、長い目で見れば、その違いは現れます。健康を考えれば、気にした方が賢明なんですね…。

 成分に関しては、膨大な数になり、その一つ一つに意味があります。化粧品成分検定協会代表理事の久光一誠さんの著書「美肌のために知っておきたい化粧品成分表示の読み方手帳・2017年9月5日発行」は、とても分かりやすく成分表示について知ることができる良書です。健康的な生活のため、1冊、お手元に置かれることをお勧めします。