2024/03/15 09:00

 若い女性の間では “石鹸をタンスに入れ香りを楽しむことが流行っている” と聞きます。私も、そう言われてみると、確かに「石鹸の香りって心地よいかも」と思います。


 私が香りについて意識するようになったのは、お土産でもらったハンドクリームを使ってみたことがきっかけでした。ヨーロッパのハンドクリームで、カモミールの香りなのですが、チューブから出すと、カモミールのエキゾチックでやわらかな香りが広がり、その香りに体全体が包み込まれるような感じがしました。やや強烈な香りなのですが、そのためその場の雰囲気全体がなごみます。日本人の感性だと、香りはあっても、ほのかに香る程度を考えるのですが、ヨーロッパの人たちは “やや強烈な香りでその場の雰囲気をなごませ、心をリラックスさせよう” と考えます。私はその発想の違いをおもしろいと感じました。

 本来、石鹸にはそのような強い香りはありませんが、以前、マルシェで買ったラベンダー黒蜜のマルセイユ石鹸80g(ゆくりね)販売価格900円、この石鹸は水に溶けると発する鼻をつくハッカのような香りが特徴的でした。私はこの石鹸を台所で使用したのですが、80gと小さめの石鹸なので10日間で使い切ってしまいました。それでも食器を洗浄する時、石鹸の香りが台所全体に広がり、“こういう香りが好きな人にはよいかもしれない” と感じました。私はハッカ系のツーンと鼻をつく香りが苦手なので、私には合いませんでしたが…。

 私の扱うクノッソス石鹸のノーマルでは、白(オリーブオイル使用)はオリーブの香りがあまり感じられません。緑(オリーブポマスオイル使用)はややオリーブの香りが強く感じられます。しかし、どちらの石鹸も香料など使用していないため、香りは弱めです。一方、私が扱うミルクの香り石鹸は、石鹸のやわらかな香りに加え、ミルクのほんわかした香りも楽しめます。若い女性などは、ミルクの香り石鹸を好んで買ってくれました。

 人間の幸福は何か実体があるもののように思えます。でも実際は、それは五感が感じる感覚的なもの。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚、この内、嗅覚と触覚は比較的意識されていない気がします。でも、なんとなくいい気分、そんなところに嗅覚と触覚から得られる幸福があるのかもしれません。五感は幸福のチャンネル。一つ一つ大切にしたいです。